禁煙外来

現在、治療薬の製造停止に伴い、禁煙外来を休止しております。また開始の際は、お伝えさせていただきます。
何卒よろしくお願い申し上げます。

日本でも2006年4月より禁煙治療が保険診療で行えるようになりました

日本でも喫煙は各種癌(すべての癌の発症率が高くなります)だけではなく高血圧症・虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)・脳卒中の明らかな原因でもあり、禁煙することによりそれらの危険性は年々少なくなっていきます。
わかっていても、一度習慣になってしまうと喫煙というのはなかなかやめられません。
これは、習慣的喫煙がニコチン依存症という病気だからです。
そこで禁煙を手助けする為に、医療機関での禁煙治療が行われるようになったのです。
また2008年から内服の禁煙治療薬が日本でも使えるようになり、飛躍的に禁煙成功率が上がりました。

ニコチン依存症

ニコチン依存症タバコを吸うとニコチンが体内に入ってきます。このニコチンは瞬く間に血液に乗って脳へやってきます。
習慣的にニコチンが脳に入ってくると、徐々にニコチンレセプター(受け皿)が育ってきます。このレセプターにニコチンが付くと快楽ホルモンが出て、快感を味わうようになります。また時間が経つとニコチンがレセプターから離れていきます。
そうすると快楽ホルモンが減って、もう1本吸いたくなります。
この繰り返しで、更にレセプターが増え、この悪循環から抜け出せなくなります。
これが麻薬にも劣らない強い依存性の正体です。

保険適応で行う条件

禁煙治療を保険診療で行うには5つの条件があります。

1直ちに禁煙しようとする意志があること

これはご本人が禁煙しようと決意しておられれば良いと言うことです。

2ニコチン依存症判定テストで5点以上であること

ニコチン依存症判定テスト(TDS)
  1. 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くのタバコを吸ってしまうことがありましたか
  2. 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか
  3. 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコが欲しくて欲しくてたまらなくなることがありましたか
  4. 禁煙したり本数を減らした時に、次のどれかがありましたか(イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲や体重増加)
  5. 問4でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか
  6. 重い病気にかかったときに、タバコは良くないとわかっているのに吸うことがありましたか
  7. タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか
  8. タバコのために自分の精神的問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか
  9. 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか
  10. タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか

※ 以上10項目の内、5項目以上あてはまなければなりません。

3 1日喫煙本数×喫煙年数が200以上であること

一日に吸うタバコの本数と喫煙年数を掛け合わせた数字です。これが200以上でなければなりません。

 例)1日に1箱(20本)吸う方で、20才から吸い始め現在50才だとすると禁煙年数は『50-20』で30年になりますので
 

ブリンクマン指数 = 20(本/日)× 30(年)= 600

※2016年4月より35歳未満の方には、上記の要件が不要となりました。

4禁煙治療を受けることに文章で同意すること

これはご本人が禁煙しようと決意しておられれば良いと言うことです。

5前回の禁煙治療から1年以上経過している、もしくは初めてであること

保険診療での禁煙治療は、年1回しか適応されません。

そのため、初めてであれば全く問題有りませんし、一度保険禁煙治療を行ったが、その後挫折し、喫煙再開した方でも前回の禁煙治療から1年経過していたら、再度保険適応されると言うことです。

以上全てがあてはまれば保険での禁煙治療が受けられます。

治療薬

保険での禁煙治療で使うことが出来る薬は2つです。

チャンピックス

ニコチンを全く含まない飲み薬です。
上記レセプターに付くことで、ニコチンが付くのをブロックします。またレセプターに付くことで、快楽ホルモンが少量出るようになります。
これで吸いたい気持ちを少し抑えてくれます。12週間服用します。

※ 2011年10月から、服用中は車などの運転が出来なくなりました。

ニコチネルTTS

ニコチンを含んだ皮膚に張る薬です。
皮膚から少しずつニコチンを体内に送り込みます。このことで禁煙期間のイライラなどの禁断症状を和らげます。
8週間使用します。

禁煙外来の費用

その他の病気の有無・薬の量によって変わってきます。ですから一律ではありません。
チャンピックスの場合、3か月の合計で治療薬が4万円弱、診察が2万円強で、合わせて6万円前後になります。
自己負担割合が3割の方は窓口負担が2万円程度ということになります。
1日1箱吸われる方でしたら、タバコ代1.5か月分くらいです。
(1箱400円なら50箱分になります)

禁煙外来の注意事項

  • 2011年10月から、禁煙補助薬の服用中は車などの運転が出来なくなりましたのでご注意ください。
  • 禁煙補助薬の使用の有無にかかわらず、禁煙中はさまざまな心的な症状(気分の落ち込み、不安、焦りなど)が生じます。これらの症状が強く現れたときには、服用を一旦中止し、当院にご連絡ください。
  • 禁煙補助薬を服用中は、ニコチンガムなど、他の禁煙補助剤を併用しないでください。
  • 禁煙補助薬の服用によって、吐き気、頭痛、腹部通、便秘、不眠などの副作用が現れることがあります。副作用を抑えるためにも、禁煙補助薬は必ず食後に服用してください。
  • 以下に該当する方は、必ず事前にお申し出ください。
  • これまでに、薬剤の使用によってかゆみ・発疹等のアレルギー症状が出たことがある方
  • 精神疾患、腎臓病がある方
  • 他に服用中の薬がある方
  • 妊娠中、妊娠の可能性がある方
  • 授乳中の方
  • 未成年の方

CMコンテスト受賞作品

2012年

2011年

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禁煙リンク

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5月31日は、世界禁煙デー です

2011年世界禁煙デーポスター

The WHO Framework Convention on Tobacco Control 世界保健機関タバコ規制枠組み条約

WHOはこの条約をタバコによる惨害から世界を守るための切り札と位置づけています。この条約はすでに170国以上が批准しており、”すべての人々に最高度の健康を享受する権利があることを承認し、タバコ規制活動を進めるための新たな法的支援の度台を提供する”ものです。

2011年1月13日、世界保健機関は来るべき5月31日(火)の世界禁煙デーのテーマを「The WHO Framework Convention on Tobacco Control 世界保健機関タバコ規制枠組み条約」と決定しました。
世界保健機関タバコ規制枠組み条約は(FCTC)は、タバコ規制のための世界で初めての武器です。この条約は、WHOのサポートの下に作られた最初の条約であり、市民の健康増進が前進していることを示す目覚ましい成果でもあります。この条約は2005年に発効したばかりですが、国連の歴史上もっとも早く、170か国以上という、もっとも多くの国が批准した条約となりました。科学的証拠に基づいて作られたこの条約は、すべての人々に最高度の健康を享受する権利があることを承認し、タバコ規制活動を進めるための共同を行うに当たり、新たな法的支援の土台を提供するものです。
2011年の世界禁煙デーは、この条約の全般的重要性すなわち、締約国にどのような条約上の義務が課せられたか、また個々の国がその義務を果たすことを支援するために、締約国会議とWHOが重要な役割を果たす必要があることを強調することを主眼に取り組みが行われます。締約国会議は、この条約の中心的運営組織です。
世界は、1996年に世界保健総会がタバコ規制に関する国際的枠組み条約が必要であるとの決議を採択した時と同じく、いやそれ以上にFCTCを必要としています。タバコは予防しようと思えば予防できる死亡の最大の原因です。2011年にタバコが原因となった心臓発作、脳卒中、ガン、呼吸器疾患などで殺される人は世界中で500万人を超えるでしょう。この数字には、受動喫煙で殺される60万人は含まれていません。しかも受動喫煙死の4分の1以上は幼い子供たちに起きます。このままでは、2030年には、毎年800万人がタバコによって殺される可能性があります。タバコは20世紀に1億人の命を奪ってきましたが、何もしなければ21世紀には10億人が殺されることになるでしょう。
他の条約でも同じですが、FCTCは締約国つまり正式にこの条約を締結した国々(並びに欧州連合)に法的義務を課しています。
主な義務を以下に示します。

国民の健康を守る政策がタバコ産業とその利害関係者によって捻じ曲げられないようにする
タバコ使用を減らせるようにタバコ税を上げる
受動喫煙の害を完全になくする
タバコ製品の成分・添加物を規制する
タバコ製品に関する情報を完全に開示させる
タバコ製品のパッケージやラベルの規制を厳しく行う
国民にタバコの危険性をしっかりと警告する
タバコの広告、宣伝、販売促進活動を禁止する
タバコ依存から抜け出すための援助を行う
タバコ製品の密輸・不法取引を根絶する
こどもにタバコ製品を売らない
タバコ栽培に代わる経済的に実現可能な転作を支援する
この条約は、低所得国と中所得国がその条約上の義務を果たす事ができるよう国際協力を行う重要性を強調しています。
今年の世界禁煙デーのキャンペーンは、次のメッセージを重点的に発信します。
すべての国は、タバコ消費と受動喫煙によってもたらされる大きな健康被害、社会的被害、環境破壊、経済的損失から現在と未来の世代を守るために、この条約の完全実施をやり遂げなければなりません。

さらに、
この条約は、多くの国の政府とその国民が持っているタバコのない世界を作る願望を反映し、それを実現するための行動を具体化したものです。
この条約の締約国には、その内容を全面的に実行する義務が課せられています。
一人ひとりの市民には、自分たちの政府が条約を完全実施するよう働きかけ支援をすることが望まれています。
すべての個人と団体は、この条約が、公衆保健の歴史上の画期的出来事であり、また、タバコ規制を進めるための初めての国際的武器であるという認識を正当に共有すべきです。
WHOと締約国会議は、各国が条約とその関連ガイドラインを実施する義務を果たすために援助を行う用意があります。

この条約がタバコとの戦いに有効であることは、すでに証明されています。
しかしながら、この条約事務局が最近発表した「Reports of the Parties and global progress in implementation of the Convention: key findings、締約国および世界的にみたFCTCの実施の進展状況に関する報告書」によれば、「タバコ規制の諸政策間に実行率の顕著な差がみられる」と指摘されています。

締約国自身が認識しているように、この条約の有効性を最大限に生かすためには、さらなる努力が必要です。ウルグアイのPunta del Esteで最近開催された締約国会議(COP4)では、すべての国がこの条約を批准し、すべての条項を実施し、ガイドラインに沿った行動をとるように呼びかけが行われました。さらに、タバコ消費を減らす目的で策定された保健対策の実行を最優先課題として実施することも確認されました。

2011年の世界禁煙デーを起点とした1年間、WHOは、世界のすべての国々がFCTCをタバコ使用の世界的災害をなくする努力の中心に据えて活動するよう呼びかけます。

すべての国々が、WHOの要請に応えて、条約上の義務を果たす事を通じて、タバコによる病気と死亡の重荷を大きく減らす能力を高めるよう望みます。
翻訳;松﨑道幸氏(日本禁煙学会理事)